あれも、これも、かなう。西武鉄道
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西武鉄道

西武鉄道社員がかなえたい

あれもこれもストーリー

Vol.11 「地域の魅力を再発見!
人と人を結ぶ農産物輸送」

新型コロナウイルス感染症の影響で苦境に陥っていた農業生産者と、外出自粛により観光などの遠出がしにくい消費者。そんな分断されていた2者を特急ラビューで輸送した農産物で結ぶ『農産物輸送』プロジェクトがメディアでも大きく報道され、話題を呼んでいます。

今回お話を伺ったのは運輸部スマイル&スマイル室課長補佐、堀雅史さん。
地域の活性化に大きく貢献した施策となりましたが、担当者はどのような想いでプロジェクトを進めたのでしょうか?
そして堀さんの考える将来の観光の在りかたとは……?

特急ラビューで運んだ沿線農産物の販売
(2021年10月20日~22日)

※本イベントは終了しております。

西武鉄道では2020年より沿線の農産物などを特急電車を活用し輸送してきましたが、第一弾に実施した秩父地域のシャインマスカットが大変好評を博したことから、今回も農産物販売会を開催しました。新型コロナウイルス感染症の影響で観光需要が不安定になるなか、観光農園などへの来訪が減少している沿線地域を応援するとともに、沿線の農産物を知っていただくことで、秋の紅葉シーズンに向け観光PRにつながるよう産地を応援しています。


01

多様な経験値を

インバウンド事業に

―堀さんの現在の業務内容を教えてください。

「インバウンド(訪日外国人観光客)に関する実務の統括を行なっています。インバウンド旅客誘致のプロモーションやTIC(ツーリストインフォメーションセンター)の運営・管理も業務の一環です。そのメインの業務に取り組む傍ら、昨年秋より農産物の輸送のプロジェクトリーダーも担っています」

―これまでにどんなお仕事をされてこられたのですか?

「はじめは所沢駅管区で駅係員ののち、BIGBOX東大和、西武園ゆうえんちで現場の業務を経験しました。その後、西武鉄道の定期外旅客誘致業務を担当した後に西武鉄道コーポレートサイト、運行情報Twitterの開設などを手掛けてきました。その後はグループ子会社の予算管理や経営会議・取締役会の事務局に携わり、組織を動かすということを肌で体感したりと、貴重な経験をさせていただきました」

02

採れたての農産物を

特急ラビューで直送

―この農産物輸送のプロジェクトにはどのように携わっているのですか?

「企画ならびに輸送責任者として、チームや室内のメンバーと協力しながら、輸送商品や売場の調整、企画内容のブラッシュアップ、輸送列車や人員の手配など全般的に関わっています。現地に足を運び農家さんが収穫した農産物を受け取り、特急ラビューで売り場まで輸送し、売り場に並べ、販売するまで責任をもって担当します。実際に農園に行って農家さんとお話をすることで現地の状況を肌で感じ取れますし、販売の際の商品のアピールポイントを伺うこともできるんですよ」

―輸送するにあたって、鉄道ならではのメリットやラビューを選ばれた理由を教えてください。

「鉄道の利点はやはり“定時性”と“速達性”です。予定した時間通りに素早く輸送できる交通手段は鉄道だと思っています。加えて、常に一定の気温に保たれ、走行性能が高く揺れの少ない特急ラビューは、デリケートな農産物の輸送に最適だと考えました。また特急ラビューの座席に座って優雅に運ぶという点も商品の付加価値になるのではという考えもあります。またコロナ禍で空いてしまった特急座席の活用という点でも特急ラビューが適任でした」

採れたてを直接お受け取り

直送の証であるオリジナルシール

03

持続可能な未来に向けて

沿線地域や農業への想い

―農産物を鉄道で輸送して販売するというアイデアはどうやって生まれたのでしょうか?

「他の鉄道会社の取り組みにヒントを得たのがきっかけです。そしてコロナ禍における特急座席の有効活用という点から地域に貢献できることを模索するなかで観光農園の窮状を知り、いますぐできることは西武線沿線の新鮮な朝採れ野菜や季節の果物などを輸送して消費者の方にお届けすることであるという考えに至りました。『観光客が来ないなら、売れるところに持っていく』ということです。西武鉄道として販売まで担うこともあるのですが、農産物の販売には免許などが不要であるという点もポイントでした。また、この施策を通して、コロナ収束後に鉄道を利用して観光地にお越しいただくことも目的としています」

―どんな想いでこの施策をご担当されているのですか?

「個人的に、農業は文明の起源の一つだと思っています。人が生きていくのに必須の食糧をつくるという面でもそうですが、種まきや収穫の時期を計るために時間や暦の概念が生まれ、収穫した物を集約して再配分する必要性から計算が行われ……。また環境への負担が少なく、参入にあたって障壁が低い産業でもあります。そんな農業関係者の方々がコロナ禍による来園者数減少で苦しんでいる。この状況に少しでもお力添えができたら、また秩父の農産物のおいしさを首都圏の消費者の方々に知っていただき、新型コロナウイルスの流行が収束したあかつきには、現地に足を運んでいただけたら、という想いで業務に当たっています」

04

秩父の農家も消費者も

双方の生活を大きく変えたコロナ禍

―コロナ禍において生産農家も大きな打撃を受けたのですね。

「秩父のシャインマスカットやいちごは、遠方からのお客さまに果物狩りをしていただく観光農園での栽培が主体で、元々とても人気のある商品でした。しかし緊急事態宣言の発令などで客足が遠のき、一部農産物では販路が確保できないことにより苦渋の決断で廃棄せざるを得ないという状況も生じることがありました。またお客さまも外出自粛やリモートワークの普及などで出控えの傾向にあり、行きたくても行けない、買いたくても買えないといった状況だったと思います」

―そんな農家と消費者を今回の施策で結んだわけですね。

「そうですね。また売り場に関しても同様です。グランエミオ所沢や西武秩父駅前温泉 祭の湯などでも、感染症対策を万全にしたうえで時短をしながら粘り強く営業をしてきましたが、やはり観光客や通勤・通学客などの人流の減少により、コロナ以前と比べると大変厳しい状況にありました。そんななか、売り場での話題作りという面でも今回の施策は苦境を打開する一端を担うことができたのかなと思っています」

05

良いものを売れる場所で

見極めが売り上げを左右する

―どのように売り場や商品の選定、そして販売をされたのですか?

「西武池袋本店はコロナ禍においても集客力があり、力のある売り場であるため、都心の消費者に向けアピール力のある農産物を。駅直結のグランエミオ所沢では広く使わせていただけるイベントスペースがあるので、農産物のバックボーンも含め、これから注目してほしい沿線の農産物を。西武秩父駅前温泉 祭の湯では、逆に都心のものを運んで地域の中で普段は買えないものを……と、さまざまな狙いのもと、売り場と商品を選定しました。シャインマスカットを含むぶどうやいちごは、従来から秩父地域の特産品の一つで、施策の中でも人気のある商品です」

―多岐に渡る業務で苦労されたこと、工夫された点などはありますか?

「工夫としては、シャインマスカットやいちごは採りたてが一番おいしく、逆にさつまいもや栗は少し時間をおいた方がデンプン質が糖化しておいしくなるなど、商品によって特性が違うので、それぞれ最もおいしい状態で売り場にお届けできるよう、生産者の方と調整しています。また苦労した点は、個別生産農家さまと価格や品種・数量などの条件調整で、農家の立地や施策に対するスタンスも違えば連絡可能な手段もさまざまで、それぞれに柔軟な対応が必要だったので、地域の方の多大なるご助力をいただいて何とか契約することができました。また輸送に関して、列車の遅れなどで納品ができなかった、ということはありがたいことになかったのですが、西武池袋本店のデパ地下グルメを西武秩父駅前温泉 祭の湯へ搬送する際、輸送業者の手違いで、商品の納品が予定していた特急電車の出発に間に合わなかったことがあり、やむなく上長に残っていただき納品を待ってもらったことがあります。最終的には追いかけて納品され、無事販売することができました(笑)」

傷つかないよう一つひとつ丁寧に

栗に関するエピソードやレシピを添えて

06

観光農園が地域の

PR・活性化に繋がる

―実際に購入されたお客さまからはどんな反応がありましたか?

「商品について『おいしい』『特急ラビューで運ばれてくるなんてすごいですね』というお褒めの言葉を始めとし、コロナ以前は毎年果物狩りに行っていたという特定の農園のファンの方々からは『県をまたいでの来訪を諦めていたけれど、今年も買うことができました』『都心で販売してくれてありがたい』などというお声をいただいております。リピーターさんも多く『今日はどこの農園の商品なの』『いつまでここで買えますか』『次はいつ、何を販売するの』なんていうご質問も。これまで、すべての売り場で完売しています。人気商品のひとつであるいちごを販売した際は、1時間かからずに売り切れてしまったほどです」

―今回の施策は各方面にどんな影響を与えたと思いますか?

「売り場での販売による観光地のアピールもそうですが、今回の施策をテレビや新聞で大きく報道していただいたことで観光農園への問い合わせや来園者が増加し、沿線の農業、そして地域の活性化に繋げることができたことも、成果の一つではないかと思っています。農家さんたちも『注目されたことでやる気に繋がりました』『改めておいしい農産物の産地として認識してもらえてうれしい』『今後の農園の運営を考えるうえで刺激になりました』などと言ってくださっています。さらに、今回の販売での支払いは、非接触型の交通系ICカードのみに限らせていただいたのですが、売り場にとっては集計がスムーズになり、また、駅隣接のためチャージがしやすい環境で利用しやすかったなど、アフターコロナのマーケティングやPASMO の普及にも役立ったのではないかと思います。そのほか、西武線沿線の観光資源についてご理解していただく良い機会になったと思います」

特急ラビューからそのまま売り場へ直行

お支払いは交通系ICカードで

07

秩父の魅力を

再発見・再発信

―現在注目を浴びている秩父地域ですが、堀さんオススメの楽しみ方があれば教えてください。

「私は山が好きで個人的に登山にはよく行っています。初心者の方でも日帰りハイキングで行きやすい山から、日本百名山にも数えられている上級者向けの山まで、秩父にはバリエーション豊かな山々があるのでぜひトライしてみてください。また、秩父というとどうしても自然にフォーカスされがちですが、街なかにも昔ながらの銭湯や少し横道に入ったところにオシャレなカフェもあり、街歩きも楽しんでいただけると思います。来春には西武プロパティーズなどによる古民家を再生し活用したレストラン・カフェ併設のホテルもオープンしますので、さまざまな楽しみ方を見つけていただければと思います」

―今回の経験で得たもの、感じたことがあれば教えてください。

「地域の農家さんとのお付き合いのなかで、考え方や農家さんを取り巻く状況などを学べたことは大きな経験になりました。またこれまでの輸送で、お客さまは商品を単純に味や価格だけでなく、歴史的背景や生産に至る経緯、そこにしかない特別感など、背後にあるストーリーを重視して選ばれていることに気付けたのも大きな収穫です。地域の新たなニーズや売り場の可能性を見出すこともできましたので、今後はこの施策で構築した各方面の関係者との関係性を活かし、“農”を使ったさまざまな事業を展開していきたいと思うようになりました」

08

安心して暮らせる

西武線沿線の底力

―今後かなえたい目標や夢はありますか?

「個人的には、農業の分野は今後ますます力を入れていくべきだと考えています。そういったところから、農産物を使った事業という視点で、日本人にも外国の方にも評価される農業ツーリズムを企画していきたいです。また、地域の農園をもっとPRし、ゆくゆくは西武線沿線で自社農園や農園ホテル、レストラン、体験型アウトドア施設などの開設を企画してみたいと考えています。いまある魅力的な観光資源を活かしたり見つけたりすることと同時に、新しく価値のあるものを創造していけたら面白いと思っています」

―西武鉄道を利用されるお客さまにメッセージをお願いします

「新型コロナウイルス感染症の影響で出かけにくい世の中になりましたが、いずれワクチンの普及や治療法が確立して以前のように外出できる日はまたやってきます。当社は引き続き感染予防・拡大防止には最大限の注意を払っておりますので、ぜひご安心してお出かけください。また、西武線沿線は地盤が強く、治水も良い恵まれた土地が多いと思います。災害を避けながら自然と触れ合うことができ、都心へのアクセスも良い西武線沿線を、ぜひお住まいの候補地としてもご検討いただけると嬉しいです!」

堀 昇平

Vol.11 Profile

堀 雅史(ホリ マサシ)

西武鉄道株式会社
運輸部 スマイル&スマイル室
2005年 入社

※所属等は、取材当時のものです。

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