所沢は、心から安心して暮らせるホームタウン。ここでできること、ここからできることを探り続ける〈negombo 33〉。
山田孝二 西武線在住歴12年
食品関係の会社勤務を経て、2009年にカレー店〈negombo 33〉をオープン。
暮らすにも、商いするにも。最適な物件があったのは、いつも所沢だった。
山田孝二さんが居住の地に所沢を選んだのは、二度とも、気に入った物件を見つけてしまったから。最初は独身でサラリーマンだった時。駅から近いうえ、庭も駐車場もついている平屋の古い一軒家に2年ほど住んだそう。その後、事情があって一度は離れたものの、カレー店開業のための最適な物件と出会い、再びこの地へ。現在は店のほど近くで、奥さんとお嬢さんの3人暮らしです。
店舗は、入り口で靴を脱ぎ、厨房をぐるりと囲む掘りごたつ式のカウンター席という珍しいスタイル。「以前は飲み屋だったようで、厨房のなかの小棚をつけ足した以外は、ほぼそのまま使っています。じつは僕、結婚する前は、この2階に住んでいたんですよ」と山田さん。
店名の〈negombo 33(ネゴンボサンジュウサン)〉の“ネゴンボ”とは、前述の平屋の一軒家に住んでいた頃に飼っていた猫の名前(ちなみにもう1匹は“コロンボ”)。サラリーマン時代に出張で行っていたスリランカの地名で、響きが気に入ったのが由来です。食品関係の仕事でインドやスリランカへ出張中に数多のカレーを食べた経験値は、〈negombo 33〉の味づくりにかなり役に立ったといいます。
そもそもサラリーマンがどうしてカレー屋に? 〈negombo 33〉誕生の理由とは。
「僕ね、カレーの食べ歩きが好きな、よくいるタイプのサラリーマンだったんです(笑)。でも、その頃はどこか不完全燃焼というか、仕事に24時間夢中にはなれていなくて。そのうち、自分は一体何をしているんだろうという気持ちを抱くようになりました」
その思いを悶々と抱えたままにせず、「このままじゃいけない、やりたいことをやってみよう」と具体的に行動に移した山田さん。趣味のカレーを生業に変えるために、飲食店経営の学校とインド料理の教室に通い、“やりたいこと”を実現するための準備をぐんぐん進めていきました。
そして、店を構えて早くも10年。〈negombo 33〉だけのオリジナルの味を確立し、いまやカレー好きには有名な、遠方からもお客さまが訪れる店になりました。しかしそれだけでは飽き足らず、レトルトカレーの開発販売、フランチャイズ店舗出店、他店やキッチンカーへの卸し、料理教室の講師など、店外での活動も山田さんは精力的にこなしています。
「お世話になっている方、おつきあいのある方に声をかけてもらって出向いていくと、そこでまた新しい人との出会いがある。小さい店だけではどうしても限界がありますから、店以外の仕事もやっていきたいんです」
地元の方とのつながりも強固なようで、現在は、所沢でカフェをオープンしたいという人を、メニュー開発などでサポート中なんだそう。
カレーをベースに、できることは臆さずチャレンジ。ホームタウンへの恩返しも。
「所沢に住んで、のべ12年。暮らすごとに所沢がどんどん好きになってきています」。そう話す山田さんは東京出身ながら、「たまに仕事で都内に出るんですけど、もはや早く所沢に帰りたいと思っちゃう。人が多すぎず、のんびりしていて、マイペースに過ごせるので落ち着けるんです」と、すっかりこの地が心から安心できるホームタウンになっているようです。
電車で30分ほどで都心にも出られ、クルマなら近くの所沢ICから高速も利用しやすく、利便性もなかなかのもの。それでいて自然が豊かなのが所沢の大きな魅力だと語る山田さんは、その自然を守る活動を去年から始めました。
「10年以上住んでいるこの地域に微力ながら貢献できればと、「所沢の森ブレンド」という珈琲の商品の売り上げの一部を、狭山丘陵の自然を守る団体に寄付しています。お客さまの紹介で、財団の方と知り合えたのがきっかけ。所沢でやっているような、いわゆるナショナル・トラストの活動が広く知られ、理解されてほしい」
〈negombo 33〉を基点にしながら、気になったことにはジャンルを問わず、フットワーク軽く、即、行動に移す。自分が動いてみないことには新しい何かは始まらない。そこに躊躇がないのは、人との出会いで自分の可能性が広がっていくのを身をもって知っているからです。
やりたいことを自力で始めて、今年でちょうど開店10周年。いままでいちばん長く続いた仕事でも4年だそうなので、すでに最長記録です。
「この店を始めて本当によかったと思っているんです。生きている限り、続けていきたいですね」
今回ご紹介した〈negombo 33〉について
■住所:埼玉県所沢市星の宮1-9-1
■電話:04-2928-8623
■営業時間:11:30~15:00LO
■定休日:月、日
■公式サイト:http://negombo33.com
※現在はテイクアウトのみの営業(期限は未定)
※2024/02/28時点の情報です。
(photo: Jiro Fujita/photopicnic text: Mick Nomura/photopicnic)