ワインと生ハムで角打ちも楽しめる! イタリアの風を感じられる、練馬のイタリアワイン専門店〈エノテカ・アリーチェ〉を訪ねて。
矢立泰介 西武線在住歴8年
横浜でイタリアワインの卸業に携わり、2012年に独立し〈エノテカ・アリーチェ〉を開店。住居は桜台駅エリア。
約1500種類をラインナップ。立ち飲みも楽しめるイタリア専門のワインショップ
扉を開けると、壁一面にぎっしりとひしめくワインの数々。店内のショーケースには、イタリアのラ・カゼーラ社から直輸入するチーズや生ハム、サラミなどが並び、その種類の充実ぶりと魅力的なラインナップに、ワイン好きなら間違いなくワクワクしてしまうはず。
「基本はイタリアンレストランへのワインの卸売りと一般のお客さまへの小売りがメインで、ワインと一緒にイタリア食材も販売しています。イタリアに行くと、ワインと食材が売っている店内で飲めるお店が多くて、そういうお店をやりたくてここをオープンしました」と、店主の矢立泰介さん。
この日もご近所さんたちが集合して、奥のワインセラーで立ち飲みしながら大盛り上がり。次々にボトルが空いていく豪快な飲みっぷりに、見ているこちらが清々しくなるほど。イタリア全土のワインが約1500種類、しかも1,000円台からあり、有名なイタリアンレストランからも信頼されるクオリティのものをリーズナブルに味わうことができます。卸だからこそ叶う膨大な数の品ぞろえと幅広い価格設定は、〈エノテカ・アリーチェ〉の強みであり魅力でもあります。
練馬のワインラヴァーが集う、夜だけ開くワインバーを併設
今年7月からは、併設のレストランがワインバーに業態を変えてリニューアル。
「シェフが独立したのを機に隣を閉めようかと思ったのですが、常連さんから『お店続けてよ!』っていう声をたくさんいただきまして。バーは僕の趣味でやっているような感じですね。週4日、夜だけのんびり気ままにやっています。グラスでいろいろ飲めて、お客さまが飲みたいものがあればどんどん開けちゃう。酒屋なので、高いワインも一杯1,000円くらいで出しちゃってます(笑)」
バーでは常連客と一緒にワインを飲みながら、おいしいレストランをお客さまに紹介したり、寿司好きの矢立さんがお客さまからおすすめのお寿司屋さんを教えてもらったり。グルメ情報を交換する場にもなっているそう。そんなコミュニケーションを通じて「練馬は酒好きで舌の肥えた人が多い」ことに気付いたのだとか。
「僕の主観ですけどね(笑)。だから、中途半端なことはできない。ここにお店を開いてみて思ったのは、練馬に昔から住んでいる人たちって人が良くて穏やか。店側のおすすめを聞いて『じゃあお任せで』という方も多くて。それを上手に楽しんでくれるから、初めからやりやすかったですね」
「練馬は便利で住みやすく、新参者にも温かい街」
独立前は、横浜市の馬車道にあるイタリアン〈ラテンダロッサ〉でサービスマンとして勤め、関内のイタリアワイン・食材専門店〈イル・カーリチェ〉の立ち上げに携わった矢立さん。出身も横浜という生粋の“ハマっ子”が、なぜ独立の地に練馬を選んだのでしょうか。
「練馬でやりたいというより、たまたま練馬だったんです。横浜界隈で似たような商売をやるのも…と思って東京に出ようと思ったんですが、特に場所の希望はなく“住宅街でやりたい”という条件だけあって。たまたまツテがあって見つけた物件がここでした」
住宅街にこだわったのは、都心部よりも家賃が安く、ワインの配送車の置き場やピッキング作業ができる広さを持てるから。練馬に抱いていたイメージや先入観はまったくなかったという矢立さんですが、「配送する時に環七や関越も近くて車で動きやすい」ことや、「同じエリアにイタリアンが少なかった」ことなど、意図せず商売のメリットになる環境にも恵まれました。
「何よりありがたかったのは、新参者でも温かく迎え入れてくれたこと。よくある“村意識”みたいなのがあまりなくて、僕のようによそから来た人たちが好きなことをやっても、好意的に受け入れてくれるんです」
ホームパーティに招かれた時のおもたせや、自宅でちょっと贅沢に飲みたい時、気分にあったワインと気の利いたアテがそろう店が近所にある。そんな地元の人たちがうらやましいかぎり。練馬に「イタリアワイン専門店」という新たな風を吹き込んだ〈エノテカ・アリーチェ〉の存在によって、ここに住む人たちの生活にうるおいや楽しみがきっと増えたに違いありません。
今回ご紹介した〈エノテカ・アリーチェ〉について
■住所:東京都練馬区中村北1-2-4
■電話:ショップ 03-5848-9814/ワインバーカンヴァス・ダ・ディエゴ 03-3999-0038
■営業時間:ショップ11:00~18:00
ワインバー12:00~20:00(L.O.19:30)
※ワインバーは現在休業しております。営業再開は未定です。
■定休日:ショップ 月曜・日曜
ワインバー ショップと同じ(現在は休業中)
■公式サイト:https://www.tre-frecce.co.jp/
※2024/02/28時点の情報です。
(Photo:Hiromi Kurokawa、Masanori Wada、Noriko Yoneyama Text:Ayano Sakai)