「全ての年代に愛される、お菓子屋さんでありたい」。東久留米の憩いの場、パティスリーカフェ〈M.YASUHIKO〉へ。
吉田友行 西武線在住歴5年
大阪のパティスリーや東京のフレンチで修業を積み、2017年にパティスリーカフェ〈M.YASUHIKO〉をオープン。
故郷の大阪・堺に通ずる空気感を感じて。
オーナーの吉田さんは大阪府堺市出身。大阪の菓子工房〈T.YOKOGAWA〉で10年修業を積んだのち、東京・成城のフレンチレストラン〈DEGUSTATION〉でチーフパティシエを務め、その後独立。現在は、東久留米の地で世代問わず愛される味を追求し続けています。
「当初はもっと違う場所に店を構えようと思っていていろいろと探していたんですが、なかなかこれという物件に出会えなくて。どうしようかと悩んでいるところに、不動産屋さんに紹介してもらったのがきっかけで、東久留米の駅を降りてみたら『あ、ここだ』と、すぐ店のイメージが湧いてきたんです。駅から少し歩くと、小さな畑がちょこちょこあるところとか、故郷の堺に少し似ているんですよね。はじめて来た場所なのに、懐かしさというか親近感を覚えました。故郷を思い出させる街に構えた店の名は、両親の下の名前が由来になっています」
洗練された店じゃなくていい。地元の人に愛される店でありたい。
パティスリーカフェ〈M.YASUHIKO〉の店内には、カフェスペースも併設されています。ケーキや焼き菓子と一緒に、イタリアから仕入れたラバッツァ コーヒーなどドリンクも楽しめ、お茶をしにくる人で店内はにぎわっています。
「自分の店をはじめようと考えている時から、絶対にカフェスペースは併設しようと決めていました。地元の人たちの憩いの場にしたいというのが一番の理由ですが、カフェスペースがないと、自分とお客さまとの関係が“お菓子を売る=買う”だけになってしまうんですよね。それはやっぱりさみしい。また、お客さまがどんな顔で食べてくれているのか、反応をすぐに見たいというのもありました。喜んでくれている顔を見ると、やる気も出てきますよね」
クリームで顔を描いたいちごをあしらった「いちごちゃんでこケーキ」などを目当てにお客さまがやってくるほど人気の看板商品もたくさん!夏限定のかき氷も人気。食材にもさぞかしこだわっているかと思ったら、「あえて高価な食材を使ったものは作らない」と吉田さん。
「ちょっと背筋を正して入らなきゃいけない、洗練されたお店ももちろん魅力的なんですが、僕が目指しているのは、子どももお年寄りも気軽に遊びに来て、のんびりできるお店。あえて食材は、産地や製法で選ぶのではなく、どこでも手軽に手に入るようなものを使って、ケーキの価格も500円以下に設定しています。ケーキって“ハレの日”にしか食べない人も多いと思うんですが、何でもない普段の日にも食べてもらいたいので。小さなお子さまにも食べてもらいたいのでお酒を使わないものも多く置くようにしています」。
まわりのお店と一緒に、東久留米の街を盛り上げていきたい。
パティスリーカフェ〈M.YASUHIKO〉のお店に一歩入ると、おいしそうなケーキが並ぶショーウィンドウと同様に、目を奪われるのが壁面にディスプレイされたドライフラワー。この花々が、さらにこの空間をあたたかく、親しみやすい場所にしてくれています。
「これらのお花は、東久留米市役所の隣にある〈ラ プランテュール〉というお花屋さんにお願いしていて、月1回、ここでリースやスワッグを作るワークショップを開催しています。お店の内装も知り合いのデザイナーが手がけてくれたんです。大阪で生まれ育って何の縁もゆかりもないこの地でなんとかやってこられているのは、ここで出会った様々な方々に協力してもらえているから。人のつながりに感謝しています」
パティスリーカフェ〈M.YASUHIKO〉は、いつしか地元の人たちが集まる”ハブ”のような存在へと変化してきました。吉田さんは、60歳を過ぎてケーキを焼く体力がなくなってしまったら「コーヒーだけ出す喫茶店にするのもいいかも(笑)」と話すほど、この場所は多くの人になくてはならない大切な場所になりつつあるようです。新たにみつけた第二の故郷・東久留米で、地元の人に愛されるパティスリー。どうか長く続いていきますようにと願うばかりです。
今回ご紹介したパティスリーカフェ〈M.YASUHIKO〉について
■住所:東京都東久留米本町3-7-7
■電話:042-479-4499
■営業時間10:00~19:00
■定休日:火
■公式サイト:http://www.m-yasuhiko.com/
※2024/02/28時点の情報です。
(photo:Kaori Oouchi text:Marie Yamanaka)