
やさしい接客と居心地の良さで人気の自然派ワインバー〈カタリナ〉。新旧入り混じる新井薬師の飾らない雰囲気が魅力。

岩崎美由紀 西武線在住歴30年
練馬、豊島園、江古田など数々の西武線沿線に暮らし、今は新井薬師エリアのプチローカル感がお気に入り。
自然派ワインのおもしろさを提案するには、カウンター越しのおしゃべりから。

お酒が飲みたい時も、食事がしたい時も、仕事帰りにふらりと一人で行ける気さくなお店があったなら……。新井薬師にある自然派ワインをそろえる〈カタリナ〉は、ワイン1杯だけの人も気軽に来られるよう、チャージはなし。しかも窓が広く取られているため、中の雰囲気もわかりやすく、入りやすさが魅力です。
「一人で来られる女性も多いですよ。一人で飲みに行ったことがなかったけど、ここなら初めて一人でも来られたという方もいましたね」と店主の岩崎さん。
カウンター席しかないので、店主の方とも話しやすいと、一人カウンターデビューにはぴったりのお店なのです。

岩崎さんはかつて中野坂上にあったワインバー〈プチ・コニシ〉で働いていました。そこで自然派ワインのおいしさを初めて知ったのだそう。そして31歳の時に独立し、念願だったカウンターのお店を作りました。
「自分が行って好きになるお店も、雰囲気も大切だけど、やっぱり人ありきだったりするので。メニューだけ見せて『はい、どうぞ』ではなく、対面でお客さまと話をしていくなかで提案していきたいなと思ったんです」
せっかくカウンターで飲むなら、店主の方とのコミュニケーションがあって、ワインを選ぶプロセスも楽しい時間です。
「9年も続けてくると、『ワインの知識ゼロです』っていうお客さまが、『この造り手さん、前飲んで好きだったやつですよね』と覚えてくれてるのがすごくうれしいんです。やりたいことがかたちになっているなと思う瞬間ですね」
個性豊かな自然派ワインと、旬の食材を使ったおつまみと。

2012年5月に自然派ワインがメインの〈カタリナ〉をオープンさせました。自然派ワインは、造り手によって味も個性も千差万別。迷う時は「好みのエチケット(ラベル)で選んでみるのもおすすめですよ」と岩崎さん。
「いろいろな造り手さんがいるので、エチケットにはその人の性格がにじみ出ている気がするんです。何を飲んでいいかわからない時はエチケットで選ぶのもありだと思います。自然派ワインのおもしろさってエチケットにしろ、味にしろ、蔵の個性が出るところ。窓口になる私たち飲食店から、造り手さんたちの意志を伝えたいなと思っています」
テキパキと手際よく食事を作る岩崎さんと、造り手さんのさまざまなエピソードやエチケットのユニークさ、自然派ワインのおいしさについてたっぷりと話ができるのも、カウンターだからこそ。

「桜の季節にもぜひ遊びに来てください」と岩崎さん。実はこのあたりは知る人ぞ知る桜の名所で、春ともなれば、お店の目の前を走る中野通りの桜並木が満開に。土日は遠方から来たお客さまでこの界隈がとっても賑わうのだそう。
「毎年、桜のシーズンになると〈パーラー江古田〉の原田さんがここに来てパンを売ってくれるんです。〈パーラー江古田〉のパンを使って〈カタリナ〉がサンドイッチを出していて、もう9年連続で開催している大人気のイベントで。もちろん、来年も開催する予定です。うちでも毎日、〈パーラー江古田〉のパンを5種、ローテーションで出しているんですけど、自転車でパンを買いに行っているんです。〈パーラー江古田〉がお休みの火曜日以外はお出ししています」

古さと新しさが同居する新井薬師の魅力は“オールマイティ”

岩崎さんは、ここ新井薬師前に住むまで、練馬や江古田など西武線に暮らしてきました。それは「暮らしやすさ」が決め手だったと言います。
「練馬はアクセスが良い印象ですね。降りてすぐに西友やユニクロもあり、生活するのにとても便利でした。江古田はアートとローカルがいい感じに混在していて。〈パーラー江古田〉もありますし、おいしいラーメン屋さんも多くて(笑)」
何よりもここ、新井薬師前に決めたのは“プチローカル感”が気に入ったことでした。〈カタリナ〉から歩いて5分ほどの場所に「薬師あいロード商店街」があります。そこには、岩崎さんもお気に入りのお店が点在していました。
「お店の常連さんにも、『ここのお店も行ってみたら?』って言えるお店が多かったのも、この場所にしてよかったところですね。新井薬師の街の魅力はプチローカル感。中野まで行くと都会だけど、新井薬師の商店街には今もお祭りがありますし、古くから住んでいる方も、住みやすいのでと新しく引っ越してしてくる方も多いですし、新旧入り混じっているんです。家賃の相場も安いですし、住んでみるととても便利で。電気屋さんはないけれど、ほかは全部あるんじゃないかな。ファミリー層にもいいし単身の方にもいいし、オールマイティにいい街だと思います」

〈カタリナ〉も中野通りに面しながらも、商店街や駅から少し離れているため、ちょっとした隠れ家感もあって“知る人ぞ知る”そんな場所になっているといいます。初めてお店を見つけた時、こんな場所にワインバーがあったんだ!と見つけたワクワク感で小躍りしたくなる、そんな場所なのです。ある女性のお客さまは「私は美由紀さんに胃袋を掴まれました」と〈カタリナ〉に足繁く通っているそう。一人で飲みに行ける、そんないきつけのお店がほしいなら、ぜひ〈カタリナ〉へ。
今回ご紹介した〈カタリナ〉について

■住所:東京都中野区新井5-5-13 1F
■電話:03-5318-5622
■営業時間:平日・土曜 18:00 〜 23:00
日曜日・祝日 17:00 〜 22:00
(その他、臨時休業はFacebook又はInstagramにてお知らせしています。)
■定休日:水、月1回不定休あり
■公式サイト:https://www.facebook.com/KatarinaBiowinebar/
※2024/02/28時点の情報です。
(photo:Hiromi Kurokawa text:Kayo Yabushita)